ドラマ・VR

  1. 地域の人々が、認知症のある人に対する手助けの行動ができるようになるためには、その方の立場で状況を理解することが重要です。私たちは、認知症のある主人公の物語を描いた短編ドラマと、そのドラマの場面を抜粋して、認知症のある人の視点を擬似体験できるバーチャルリアリティ(VR)映像を作成しました。ドラマは、記憶障害などの認知症に特徴的な症状に加え、認知症のある人のライフストーリーや価値観、周りの人との関係性を含む内容となっています。周囲の人の望ましくない対応と望ましい対応を表す2つのシナリオがあり、両者の対比から認知症のある人への関わりを学ぶことができます。VR映像では、認知症当事者の一人称視点で、その体験を視聴することで、周りの人の関わり方により認知症のある人が抱く感情の変化を体験することができます。
  2. これらの短編ドラマとVR映像を用いて、一般市民向けの認知症教育プログラムを開発し、介入研究による評価を行いました。その結果、認知症のある人への援助行動意図(助けようと実際に行動を起こそうとする気持ち)が有意に改善したことが示されました(Suzuki et al., 2022)。一般市民向けの教育プログラムをアレンジし、看護学生や病院に勤務する看護師を対象とするプログラムも作成し、その活用を検討してきました。東京都日の出町の小学校で取り組んでいる高齢者教育のプログラムの中でも、この短編ドラマを教材として活用しています。

参考資料

  1. 準備中